過払い金の計算を自分でやる方法~過払い金の引き直し計算と注意点
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「過払い金の計算って難しそうだけど…」 と思っている方。今は簡単に計算できる表がインターネットで簡単にダウンロードできますので大丈夫!
ただし、注意が必要なのは過払い金請求に「時効」があること。特に同じ業者から数回借り入れを行った方は、その取引が別々の取引とみなされる「分断」なのか同一取引の「一連」なのかによって、手にする金額が違ってきます。
万一時効になりそうな場合も、「時効の一時中断」という方法もありますのであきらめる必要はありません。そこで、引き直し計算をする際の注意点について詳しく解説します。
過払い金の引き直し計算とは
「引き直し計算」とは、利息制限法という法律で決められた金利(法定金利)に違反してお金を貸した場合、正しい法定金利で計算をし直し、払いすぎていた過払い金を算出すること。 法定金利の上限は3段階に分かれて決まっています。
借入額 | 法定金利の上限(年) |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
100万円を29%で借りると1年で14万円も過払いが生じる
計算式の詳細については省略しますが、最近はネットで「過払い金計算表」と検索をすれば簡単に計算できる表をダウンロードできますので、そちらを利用して計算してみてください。ここではわかりやすく、「引き直し計算をするとこんなにお金が戻ってくるんだ~」ということだけお伝えしておきます。
≪引き直し計算の例≫ 100万円を29%の金利で借りた場合 1年後の利息・・・100万円×29%=29万円
法定金利は100万円の場合に年利15%になるので 1年後の利息・・・100万円×15%=15万円
つまり、29万円から15万円引いた「14万円」が利息の過払い分となるわけです。 この金額は、100万円を1年借りた場合なので、5年、10年と返していたとすればかなりの額になります。
過払い金の計算の注意点
過払い金の計算をする際に注意が必要なパターンが3つあります。 1. そもそも利息をつけ忘れている場合 2. まだ借金を返済中の場合 3. 過去に同じ業者に数回お金を借りていた場合
間違えると過払い金が少なくなってしまう可能性もある
1つ目のそもそも利息をつけ忘れている場合について― 「えっ?どういうこと?」と思われたのではないでしょうか。利息分をつけ忘れてしまうと、せっかく取り返せるはずの金額が少なくなってしまいますので注意してください。
そもそも、過払い分にも利息をつけていいということが最高裁判決で決まっています。しかも、5%です。100万円分の過払いなら利息として5万円、200万円であれば10万円つくわけです。ですので、引き直し計算で金利の差額分を出したら、その金額に利息分として5%をつけて請求しましょう。
最初の請求では利息分もつけておくと交渉の際に有利になることも
ただし、こちらとしては当然の権利であっても、貸金業者としては利息まで払いたくないですからかなり抵抗してきます。個人の和解ともなると利息分まで取り返すのは難しいのが現実です。
逆に、利息分までつけた全額返還に渋っていた場合、「じゃあ、利息分はこちらが泣きますので、元本だけ返還してもらうということでどうですか?」といった交渉の仕方をすることで、こちら側に有利に運ぶこともできるはずです。
返済中の場合、過払い金で借金を0にできるかどうかでその後の手続きが変わる
2つ目のまだ借金を返済中の場合について― すでに借金を完済している過払い金請求についてはよいのですが、現在もまだ返済中の方も注意が必要です。通常、過払い金請求をした場合、発生した過払い金は残りの借金と相殺されます。
過払い金のほうが多ければ、現在返済中の借金もチャラになりますし、その上にプラスして現金が戻ってきます。ところが、過払い金よりも残りの借金のほうが多いと、過払い金請求ではなく「債務整理」という扱いになりブラックリストに登録されてしまう可能性があるのです。
ですので、引き直し計算をして残りの借金が「ゼロ」になるか確認することが大切です。もしも残債のほうが多い方は、まず完済をしてから過払い金請求をするようにしてください。
一度完済して同じ貸金業者からまた借りた場合は注意
3つ目の過去に同じ業者に数回お金を借りていた場合について― 一度返済を終え、同じ貸金業者から再び借り入れをした場合、2つの取引が別々(分断)なのか、つながっている取引(一連)なのかによっても過払い金の額が違ってきますので注意が必要です。
例えば、以下のように3回借りた場合 1)1990年~2000年に30万円 2)2001年~2006年に50万円 3)2008年~2013年に20万円
「分断」だと、(1)~(3)の取引が別々のものとして扱われるため、それぞれ30万円、50万円、20万円に対して請求を行うことになります。
「一連」であれば、(1)~(3)の取引を同じものとして扱うため、合計100万円に対して請求を行うことになります。
過払い金請求は完済から10年で「時効」になる
「だったら分断でも一連でも合計は100万円なんだから同じなんじゃないの?」
ここで注意が必要なのが過払い金にも「時効」があるということ。 時効のタイムリミットは完済してから「10年」です。
一連であれば、最後の取引を完済してから10年絶っていなければ過払い金請求ができます。この場合、(3)の完済した2013年から10年後の2024年までは請求できるということです。
ところが、分断の場合はそれぞれの取引となるため時効もそれぞれに違います。 (1) の時効は2010年に成立。 (2) の時効は2016年に成立。 (3) の時効は2024年に成立。
分断で時効に引っかかってしまったなら「時効の一時中断」という方法もある
(1)については時効が成立してしまっているため請求ができないのです。ただし、時効を一時的に中断させる方法が3つあります。
1.「訴訟の提起」「支払督促の申立て」など裁判所を通して請求する 2.貸金業者への請求を行って6カ月以内に訴訟の申し立てをする 3.貸金業者から暴力や脅迫など不法な取り立て行為を受けたと認められる
ただ、ここで問題となるのが「分断」なのか「一連」なのかを判断する基準は、法律上はなく裁判官によるものだということ。
となると、同じ業者から何回もお金を借りていた場合、裁判に慣れていない個人よりも法律の専門家にお願いしたほうが確実に多くの過払い金を手にすることができます。これは、事項の一時中断に関しても同じことが言えるでしょう。
過払い金の計算まとめ
基本的に引き直し計算は意味さえわかれば難しくはありません。ただし、過払い金請求には時効があるため、数回に分けて借りていた場合には複雑ですし、交渉そのものが難しくなるので個人でやると取り返す金額も少なくなってしまう可能性が高いのが現状です。
また、過払い額が多い場合、利息分もそれなりの額になります。ただ、利息分も満額で取り返そうとなれば裁判に持ち込まなければなりません。そうなるとやはり個人で請求するよりは、手数料を払ったとしても専門家に頼んだほうが確実です。いずれにせよ、間違った引き直し計算で少なく請求しないよう注意しましょう。
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